車のヘッドライトの黄ばみは、2023年現在において、避けて通れない問題です。
愛車のヘッドライトが黄ばんでしまい、こんな経験ありませんか?
- 車検の時、車検が通らないから交換が必要と言われた
- 黄ばみが気になってディーラーに相談したところ、交換しかありませんと言われた。
- 専門店でヘッドライトを磨いてもらったが、取り切れなかった
黄ばみが原因で様々な問題が発生しています。
しかも黄ばんでいるだけで、車全体が古びて見えてしまう、という大きな問題もあります。
この黄ばみの原因についてヘッドライトの歴史からひも解いていきたいと思います。
日本車のヘッドライトの歴史をひも解く
「ヘッドライト」と言うとみなさんはどのような形状をイメージされますか?
今でこそ、多種多様な形状をしているので、人それぞれのヘッドライトのイメージがあると思います。
初期のヘッドライトは丸形のみ
日本初のガソリン自動車の登場したのが1907年。
そこから自動車の歴史が始まります。
日立製作所や小糸製作所などが初期のころから自動車用ヘッドライトの製造を手掛けてきました。
ただ、そのころの純国産車はトラックのみでした。
1960年前後になると、各メーカーから名車が生まれてきます。
トヨタのカローラ。
「テントウ虫」と呼ばれたスバルの「360」
「ハコスカ」と呼ばれた日産の「スカイライン」。
この頃はアメリカでヘッドライトの形状に規制があり、丸形のみしか認められていなかったのです。
その影響を日本も受け、1966年までは丸形のヘッドライトしかありませんでした。
この頃のヘッドライトはガラス製で、レンズと電球が一体になっていました。
今で言うところの電球と同じような作りです。
角形・リトラクタブルヘッドライトが登場
1967年になり、ようやく2代目ファミリアで四角のヘッドライトが登場します。
同年にトヨタ2000GTが日本車で初の格納式ヘッドライト(リトラクタブルヘッドライト)が登場。
ヘッドライトは低い位置に設置することが出来ない規定があるのです。
それが車のデザインを限定させてしまう、という欠点を補う為に考案されたのが、リトラクタブルヘッドライトです。
車庫の低いスポーツカーでもヘッドライトの高さの規定に納めるための形状です。
当時は、ライトを格納している時には空気抵抗が少ないため、燃費向上が望めるというメリットがあるように思われていました。
しかし、ライト点灯時はライトが空気抵抗になってしまいます。
その上、ヘッドライトを出し入れするためのモーターなどの機構が必要なため、その重量が増します。
さらに重い物が車体の先端にあることで、走行性能を悪化させているということがわかったのです。
そして、何より、ヘッドライト点灯時は、突起しており、事故の際の衝突安全性が低くなります。
こういったことから法改正が行われます。
その後、2002年以降製造する車両への取付が実質認められなくなり、姿を消すこととなりました。
この頃のヘッドライトは、レンズはガラスですが、現在のハロゲン球と同様の構造になっています。
ポリカーボネート製ヘッドライト登場
1984年に、世界で初めてポリカーボネート製のヘッドライトが採用されたのが初代のトヨタ・ソアラと言われています。
この頃はまだガラス製のヘッドライトが主流でした。
その後、1990年代になると、ポリカーボネートのあらゆる面からのメリットが認められ、ポリカーボネート製のヘッドライトが主流となります。
現在では、ほぼ全ての乗用車がポリカーボネート製のヘッドライトを採用しています。
ポリカーボネート製ヘッドライトのメリットとデメリット
現在では、ほとんどの車のヘッドライトの材質はポリカーボネートで出来ています。
そのメリットとデメリットをまとめてみたいと思います。
3つのメリット
- ガラスに比べ、非常に強度が強い
- ガラスに比べ、非常に軽い
- 加工性に優れているため、デザインが多様にできる
ポリカーボネートは、ガラスより200倍以上の強度を誇り、割れにくい上に、軽い性質があります。
そのため、新幹線の窓や、最高速度2400km/hを超える戦闘機であるF22のコックピットにも使われている程の強度です。
そして、万が一事故で破損した場合でも、ガラスは粉々になってしまい危険ですが、ポリカーボネートは、ガラスほど粉々になることはほぼありません。
車においては、加工性が非常に優れている点が一番のメリットと言えます。
ガラスでは、強度を保つために、丸や四角、台形など非常に限られた形状にしか加工することができませんでした。
強度を気にしなければ色々な形状に加工はできます。
それが、ポリカーボネートに変わったことで、強度を保ちながら複雑な形状にも加工が可能となりました。
その後は、デザインの優れた車が誕生することとなっていくのです。
参考
参考までにアクリル屋さんのサイトでポリカーボネートの特性がご紹介されてます。
ポリカーボネートの強度は同厚ガラスの約200倍。アクリルの30倍。
割れ難さは他の樹脂に比べ抜き出た強靭さを誇ります。
参照:アクリル屋
3つのデメリット
- 表面の硬度は高くないため、傷がつきやすい
- アルカリ性の薬品耐性が弱い
- 劣化により黄変が起こる
メリットで、「強度が高い」と紹介しました。
全体の強度は高いため、ねじれや衝撃には強いものの、表面の強度はそれほど高くないため、細かなキズが付きやすい性質があります。
そのため、例えば走行中に砂塵があれば、その砂塵でも細かなキズが入ってしまいます。
そのほかにも、アルカリ性の耐性が少ない点などもあります。
そして、一番の問題となるのが、「劣化により黄変が起こる」という点です。
劣化することで、黄変が起こるということは、劣化の原因を防ぐことができれば、黄変(黄ばみ)を防ぐことができる、ということになります。
ヘッドライトが劣化(黄変)する3大要因
様々な要因が考えられますが、3つの大きな要因を確認していきます。
紫外線による劣化
ポリカーボネートは、紫外線を遮断する性質があります。
しかし、紫外線を吸収してしまい、劣化が進んでしまいます。
劣化(黄変)する要因の9割はこの紫外線によるものです。
時々、片側だけ黄ばんでいる車を見かけることがありませんか?
事故などで片側だけ新品にした、という場合もあります。
片側だけに太陽が当たり、反対側には太陽が当たらない、という駐車場もあります。
こういった場合に、極端に片側だけ黄ばみが進行してしまうのです。
キズの蓄積
ポリカーボートは、ねじれや衝撃には強く、割れにくい性質があります。
ただ、表面的には鉛筆の硬度で言うところのHB程度です。
そのため、走行中の砂塵などでも細かいキズが入ってしまいます。
そして、洗車時にも傷がついてしまうこともあります。
様々な場面で細かいキズが入ってしまうのです。
熱による加水分解
ポリカーボネートは燃えにくい性質があります。
しかし、高温時に水分が加わると二酸化炭素とポリカーボネートの原料であるビスフェノールAという成分に分解されてしまう「加水分解」という現象を起こします。
内側が曇って劣化する原因はこの加水分解によるものと考えられます。
安価なHIDやLEDのヘッドライトバルブは熱をしっかりと放出きません。
そんな時にこういった現象が起こることがあります。
HIDやLEDのバルブは、実はハロゲン以上に熱を帯びます。
そのため、ハロゲン以上に放熱性能が重要になるのです。
ヘッドライトの黄ばみを放置しておくとどうなる??
ここまで、ヘッドライトの黄ばみの原因について説明してきました。
では、そのまま黄ばみを放置してしまうとどうなるのでしょうか。
夜間の運転が危険!
夜間のドライブでロービームで走行している場合、約40m先までしか照らせていないことはご存知ですか?
これはヘッドライトが通常の状態での話しです。
もし、黄ばみを放置していると、光量(明るさ)が減ってしまいます。
場合によっては40m先まで照らせていないということになります。
仮に路面が乾燥していて、タイヤが良い状態で時速50kmで走行したとします。
危険を察知し、アクセルからブレーキに踏み替え停止するまでの距離は、一般的に約32mと言われています。
これであれば、40m先まで照らされていれば十分な距離と言えます。
ただ、常に条件が整っているとは限りません。
仮にドライバーが疲労していたとします。
この場合、危険を察知するのも正常時より遅れてしまいます。
さらに、アクセルからブレーキに踏み替えるまでの時間も増えることが考えられます。
そうなると、停止するまでの距離がその分伸びてしまいます。
時速50kmで走行していたと想定。
1時間は3600秒、50kmは50,000mなので、50,000m÷3600秒=約13.9となるので、1秒で13.9m進むことになります。
1秒反応が遅れるだけで停止距離は約45.9mとなる計算です。
これは、ロービームで40m先が見えても不足してしまう計算となってしまうのです。
さらに、これが濡れた路面であったり、すり減ったタイヤで走行していたら。。。
こんな時に、ヘッドライトの黄ばみを放置していて、光量が不十分で、照らされているのが30m先だったりしたら、大変なことになってしまうのは、容易に想像できますよね。。。
車検が通らなくなる
「夜間の運転が危険」にもつながる内容です。
夜間の運転が危険になるから、車検で規制されています。
国土交通省が定める「保安基準」というものがあり、ここで規定されています。
文章のみになりますので、少々わかりにくいですが、国土交通省の保安基準は、こちらからご確認いただけます。
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr1_000075.html
上でも説明した通り、レンズが劣化して黄ばみが進行してしまうと、
透明度が下がってしまい、ヘッドライトの光量(明るさ)が不足してしまいます。
その光量が保安基準に達していないと「車検が通らない」ということになってしまいます。
ディーラーに交換の見積もりを出してもらったところ、
見積りが30万円や60万円!なんてことも珍しい話ではありません^^;
車が年式以上に古く見られてしまう
ヘッドライト「車の目」とも言えます。
ライトが黄ばんでいたり劣化しているとどんなにかっこいい車であっても、古臭く見えてしまいます。
逆に年式が経過している車であっても、ヘッドライトが美しくなっていることで、車自体が輝いて見えるものです。
「旧車(ビンテージカー)」であっても、ヘッドライトが黄ばんでいれば、古臭く見え「ただの中古車」に成り下がってしまうのです。
そして、時間をかけてボディーを一生懸命磨いても、ヘッドライトの黄ばみで綺麗になったように見えないのも残念なところですよね。
ヘッドライトの今後の可能性
ポリカーボネートは現在でも研究が進んでいます。
アクリル素材などの層を組み合わせる事で、紫外線により劣化するまでの時間が伸びた、という事例もあります。
ポリカーボネートだけでなく、他の素材と合わせて1枚にするなど。
将来的には、黄ばみの発生しないヘッドライトも開発される可能性はあります。ただ、現時点では不可能だとされています。
黄ばみの発生しないヘッドライトが開発されるまでは、この問題と向き合って行かなければなりません。
当社は「清掃サービスを通じて三方よしを追求する」というミッションをかかげています。
ヘッドライトの黄ばみをコーティングやプロテクションフィルム使用することで防止すること。
黄ばんでしまったヘッドライトをキレイにすることで、交通事故を減らすことができる、と本気で考えています。
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もし、あなたが本気でヘッドライトの黄ばみを予防したい、と考えているなら、いつでもご相談下さい!